人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

奈良・桜井の歴史と社会

koza5555.exblog.jp

室生の森に降りた天女の可憐さー室生寺五重塔

JTBの「まほろばソムリエと美仏を訪ねるツアー」のガイドマニュアルを作成した。
コースは長谷寺、室生寺、聖林寺、安倍文殊院である。
桜井市史や室生村史なども丁寧に調べて、ありきたりでないガイドマニュアルができたと自負している。
このツアー、4月28日、5月5日に始まり、7月から9月は毎日曜日で計15回というスケジュールである。
奈良まほろばソムリエが8名くらいで分担してガイドすることになるので、みなさんに地元の僕の試案をメールで送った。あとは下見の段取りを決めるという所までこぎつけた。

さて、「詳しいことはるるぶ」ということであるが、「どのるるぶか?」、それが見当たらない。
「特別編集号 京都・奈良・びわ湖」の2013年版とのことであるが、まだ店頭で見かけない。よろしくお願いします。しばらく前に校正も出しているので、もう間もなくだと思うが。

そんなことで、長谷寺をずいぶん考えたが、こんどは室生寺である。
ここも年末、年始に何回か書いたが、今日は五重塔だけ考えたい。
室生の森に降りた天女の可憐さー室生寺五重塔_a0237937_171598.jpg

松田敏行さんが書いた本を読んだ。
室生寺五重塔―1200年の「生命」と「美」の秘密―小さな塔は「知恵の宝庫」だった
祥伝社の本である。

平成10年9月22日の台風7号で、室生寺の五重塔は倒れた杉に切り裂かれた。
樹齢650年、目通り1,4mという大木だが、幸い「心柱」(しんばしら)は外れていた。

松田さんはこの修復の設計とその指揮をとった。
室生の森に降りた天女の可憐さー室生寺五重塔_a0237937_181470.jpg

修理の目で五重塔を見る。

この五重塔、五重まで行くと1m50cmしかない、そこに23センチの側柱が四隅と間に二本あるのだから、隙間からは頭も入らないような工事だったと述べている。

年輪年代測定法で794年に伐採したヒノキが使われており、また寸法も天平尺と今の尺との間のもので、800年の建設と特定されたとしている。

鎌倉時代と明治32年、二回の大修理がされていることが、心柱の継ぎ方などから分かったなどとビックリ話が次々である。

五重塔は室生のヒノキが使われた。森の木と五重塔の柱は兄弟であり、親子である。時代から見ると親は柱の方であるけど。
五重塔の初重には大日如来を中心にした五智如来が安置されている。それが拝まれる。
同時に塔そのものも信仰の対象と言えるのではないか。
室生寺の五重塔、「室生の森に降りた天女の可憐さである」というのが、松田さんの結論である。
by koza5555 | 2013-02-10 01:10 | 読書
<< 長谷寺、だだおしの大松明 奈良のまつもりさん >>