まほろばソムリエの会が奈良交通とタイアップして万葉集のツアーをすすめているが、僕もこのツアー、①初瀬と桜井、②宇陀、③盆地南部(橿原・田原本、三宅)、④来年だけど藤原宮周辺の4コース8回を引受けた。
このツアーを受けた直後、入手した本は・・・「原色万葉植物図鑑」桜風社発刊、1960年代の本である。著者は小村昭雲さんというが、ご存命かどうか(明治35年の生まれである)である。
奈良、「もちいどの」のフジケイ堂で幸運にも手に入れた。万葉集の勉強、これが僕のいまの宝刀である。
万葉集で忍阪をガイドする予定がある。
忍阪の玉津島明神にて、古事記の衣通王(そとおりひめ)の
君が往き け長くなりぬ 山たづの 迎へをゆかむ 待つには待たじ を紹介する。
当然、
君が行き 日長くなりぬ 山尋ね 迎へか行かむ 待ちにか待たむ (巻2-85)磐姫皇后の歌を合わせて紹介することとなる。
明らかに出所は同じであるが、磐姫皇后の歌は「山尋ね」と書かれており、「山路をさがして」などと解説されている。
ところが元とみられる古事記の歌は「山たづ」とあり明らかな相異がある。しかも古事記には「やまたづは造木(みやっこき)というもの也」と注まで付けられているのである。
山たづ。開花は今しばらく先か?
こういう時に、この「原色万葉植物図鑑」が力になる。
「山たづは現在のニワトコと解されている」とし、細長い葉柄が対になっていることから、万葉では逢うなどの対の意味にとり、迎えるという行為の枕詞として使うと解説がある。
対の葉脈を持つニワトコの葉
これで忍阪の玉津島明神にて、右大将藤原道綱母、光明皇后と並んで本朝三美人という衣を通してその美しさが光るという衣通姫(そとおりひめ) の歌が存分に語れるというものである。
君が往き け長くなりぬ 山たづの 迎へをゆかむ 待つには待たじ