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奈良・桜井の歴史と社会

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唐招提寺から海龍王寺まで

「NHK文化センターからの『大和路を歩く』と言う講座の講師の話がきている。やってみませんか」と「まほろばソムリエの会」から声がかかった。
NHKの担当者と相談して、さっそく4月~9月まで5回(ウォーキングということで8月は休みである)の計画を練り上げた。

さらに、講師の日程が繰り上げとなり、「2月からやってほしい」という依頼である。
コースは前任のMさんが作られており、西ノ京(薬師寺・唐招提寺)発で法華寺解散というコースである。
「どんな計画?」とNHKカルチャーの担当にお聞きすると、「唐招提寺を案内したい、海龍王寺にお連れしたいといわれていました」と前任者の案が紹介された。

あれこれひねくり回したが、どうも、このコースのテーマは遣唐使、遣唐使船なんだと思うに至った。

唐招提寺は中国の楊州(ようしゅう)から来日した鑑真和上が創建した。
6回目のチャレンジで、盲目になっての67歳で渡航に成功する。

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平城宮跡歴史館

そして、この「歩く」は、順路で行けば、次は平城宮跡であろう。
ここの歴史館には、唐使船の復原が置かれ、遣唐使を中心に大陸との交流をテーマに展示している。

さらにその先の海龍王寺は遣唐使船を記念するようなお寺である。
遣唐使船により唐から帰国した玄昉が住したお寺である。唐からの帰路、嵐の中を海龍王経を唱えて生還し得たことに因み、聖武天皇から「海龍王寺」の扁額を授かっている。

この企画、初期の予定は2月15日(土)だったが、あの大雪である。雪をかき分けの秋篠川堤、平城宮跡は「とても無理、安全が確保できない」として、今日3月1日に延期したのである。

唐招提寺で鑑真和上を考えた。
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鑑真和上御廟の苔庭である


寄棟造の天平建築、金堂前で基本的な解説を行った。金堂の柱間は大きな差が付けられており、正面に立っただけでも遠近法で広がりを感じるように作られている。天平の匠の技である。

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おほてらの まろきはしらのつきかげを つちにふみつつ ものをこそおもへ 会津八一


平城宮跡で昼食、記念館から大極殿の間は奈良文化財研究所のボランティアガイドの援助を受けた(予約)。ここは、みなさん、納得のゆく説明を受けることができた。

ちょっとマニアックだが、そのあと市庭古墳(いちにわこふん)を訪れる。
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前方後円墳だったが、平城宮造営の際に邪魔となる古墳の前方部が破壊された。大型の円墳とみられていたが、前方後円墳とわかったという古墳である。
ソムリエの会のメンバーが藤原薬子(くすこ)の生涯にも触れながら、巧みに解明する。

古墳の解説は新鮮に受け止められた。このツアーはとにかく長く続いており、なかには10年来の参加者もおられるようである。どう新味をだすか、コースづくりの困難さも思いをいたしていたが、どうも古墳はあまり触れられていなくて、今後はこのテーマに希望が持てそうである。

法華寺、海龍王寺も訪れた。
海龍王寺は門前のたたずまいも含めて、みなさんから驚嘆の声が上がる。
西金堂の中に安置される国宝の五重小塔をはじめ、十一面観世音菩薩などがとても喜ばれた。

帰りのバス停では笑顔がはちきれた。「楽しいツアーだった」とみなさんに言っていただいた。
4月はチューリップ、5月はカザグルマをたずねる。花をさがして寺社、旧跡、古墳を訪れながら、お客さまが楽しめて、僕も楽しめるツアーを組み立ててゆきたい。
by koza5555 | 2014-03-01 23:21 | 奈良
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