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奈良・桜井の歴史と社会

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平等院 雲中供養菩薩像

平等院を訪れて 浄土のことを考えてきた。
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上品下品(じょうひんげひん)の源とされる九品(くほん)のことである。
上品上生、上品中生、上品下生、中品上生、中品中生、中品下生、下品上生、下品中生、下品下生・・これである。それぞれの印相もあるので、ご存知の方も多い。

昨年11月に、「大和路」(NHKカルチャー梅田)で浄瑠璃寺を訪れた際、まほろばソムリエガイドのTさんが、この九品を巧みに解説した。

「九品はお迎えの形である。生前に善業をした人と悪業をした人には、お迎えの形に差がある。その姿をあらわしたのが九品である」として、「上品上生(じょうぼんじょうしょう)から下品下生(げぼんげしょう)までのお迎えの形とお迎えの乗り物が違う」とのことである。
「上品上生の場合は、お迎えは仏・菩薩・飛天が大勢で迎えに来る、そこからだんだんにランクが下がり、下品下生まで下がると迎えは来ない」・・「自分で行く」・・というような話だった。

この話を聞きながら、僕はお迎えのお供をしてくる「飛天」が気になったのである。
あっちゃんが「通訳ガイドの下見、準備のために京都に行きたい」という。「それでは」と宇治の平等院も立ち寄ることにしたのである。

平等院は、永承7年(1052)、時の関白藤原頼通が父道長の別荘を寺院に改めて創建された。
10円硬貨でよく知られる鳳凰堂が建立され、仏師定朝により造像された 寄せ木造りの阿弥陀如来坐像が国宝である。合わせて鳳凰堂内壁の飛天(平等院は運雲供養菩薩としている)の全52体は国宝に指定されている。

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改装なった鳳凰堂、飛天もよく見えた(画像はパンフレットからいただいた)

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九品来迎図も復元されて残されている。これは中品上生であるが、鳳凰堂の内壁全面に九品のすべての来迎図が描かれていたという


平等院では、雲中供養菩薩像として、この飛天を「本尊の阿弥陀如来に対して、雲の中で供養讃嘆する有様」としているが、これを僕は、「上品上生のお迎えの姿」と見たいのである。

頼通は生きているときから、自らの葬儀、自らの浄土への旅立ちを姿・形で示した…それはまるで生きているときに自らの陵を築かせた古代の大王のように…間違いでしょうか?

鳳翔館という立派な博物館ができており、鳳凰堂から降ろされた一部の雲中供養菩薩像も展示されている。これは身近に見られて、この博物館も興味深い。

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宇治市のマンホールは宇治川、宇治橋がテーマだった

by koza5555 | 2016-03-07 05:51 | 大阪とか京都とか
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