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奈良・桜井の歴史と社会

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オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井

桜井市の高家(たいえ)で9月5日にオープンする「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」の従業員の研修のお手伝いをした。

「奈良のことは何も知らない」、しかし「知りたい、勉強もしていきたい」というオーベルジュ従業員に、「奈良と桜井の歴史の紹介、観光案内を4時間で話そう」である。

研修の「元請」は奈良まほろばソムリエの会の鉄田専務理事である。
「奈良の歴史」を鉄田さんが一時間話して、「奈良県の観光案内」、「桜井市の歴史と案内」を2時間30分で僕が受け持ち、最後に鉄田さんが「奈良の食」を30分話すというカリキュラムである。

まず考えたのは、オーベルジュの立地点、オーベルジュで働く従業員の立場から奈良を見てみるということである。
オーベルジュは桜井市高家。奈良盆地を南から見下ろす高台に立地する。古代の山田道を見下ろす丘の上である。

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 「ぬばたまの 夜霧は立ちぬ 衣手の 高屋の上に たなびくまでに」(巻9ー1705)と舎人皇子が歌ったそのものである
        
始めのお話しは、「世界遺産」としたが、立地から見ると、「特別史跡」が見逃せない。
国が指定する史跡のうち「学術上の価値が特に高く、わが国文化の象徴たるもの」は特別史跡に指定されるが、これに全国で61件、そのうち10件が奈良県である。

特別史跡を地図に打ち込んでみると、オーベルジュに近い順に

山田寺跡(やまだでらあと)〔桜井市〕
文殊院西古墳〔桜井市〕
藤原宮跡〔橿原市〕 
石舞台古墳〔明日香村〕 
高松塚古墳〔明日香村〕 
キトラ古墳〔明日香村〕 
本薬師寺跡(もとやくしじあと)〔橿原市〕

遠いところは
巣山古墳(すやまこふん)   〔広陵町〕
平城宮跡(へいじょうきゅうせき)〔奈良市〕
平城京左京三条ニ坊宮跡庭園  〔奈良市〕

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こんな地図である

奈良の特別史跡には中世、近世はなく、ことごとく古代であるが、オーベルジュの立地がすごい。
こんな地図を見ると、オーベルジュ、は奈良県を代表する桜井に決まってよかったが、さらに高家という高台で、飛鳥との境目というのもなかなか良いのである。


研修では、世界遺産にも力を入れて話した。
時間は短い。そこで、「法隆寺地域の仏教建造物」、「古都奈良の文化財」、「紀伊山地の霊場と参詣道」のすべてを僕流に紹介することした。

奈良県全体で一時間、興福寺も元興寺もそれぞれ2分である。
この時間で建築、仏像、そのうえ万葉集や會津八一も盛り込んで楽しんで頂いた。


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さて、この研修の準備、時間との戦いだった。
2時間30分の講演、パワーポイントは60枚と踏んで準備を始めた。
準備期間が短い。聞いてから一週間、実質五日間くらいの勉強、作業時間である。

講演もツアーも、あれこれ考えてから、話の全文を書き起こすようにしている。僕は早口で、講演の目安は「30分で4千字から5千字」としている。
今回は二時間半で2万字くらいの原稿を書いている。

原稿を作り上げてから、パワーポイントを作り上げていく。写真を探したり、文章をはめ込んだり、順番を変えたりで、一枚当たり15分が目安で・・・60枚なら15時間・・・

パワポに合わせながら、声を出しての練習も必須で、あれこれの事項や漢字の読み方の再確認ができるのである。この作業を経て、パワポの修理もして、完成という仕掛けである。

時間に追われた一週間だったが、面白い演題・パワーポイントが二本できたのが大収穫である。
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オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井、「なら食と農の魅力創造国際大学校」(奈良県)に併設され、指定管理者はひらまつ である。

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そんなこともあり、まほろばソムリエの会の鉄田専務理事は「奈良の食事情」を、豊富な知識とリアル体験で熱演、これは僕も勉強になった。


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眺望もすごい。奈良盆地が一望である


ホテルもレストランも期待が持てる。
ぼくらも地元の安倍の民生委員の定例会、この食事会の予約を入れたばかりである。
by koza5555 | 2015-08-31 09:37 | 桜井市と安倍 | Comments(0)

鹿寄せ

孫が、夏休みの宿題として「奈良のシカ」保護啓発ポスターコンクール向けに絵を描いた。
「鹿寄せ」がテーマで、もうポスターも完成しているが、・・・今ごろになって、「鹿寄せってなに?」と聞く。これは具合が悪いと、奈良公園まで連れて行ってきた。

夏休の間は土・日の朝に行われてきている。
鹿愛護会の係がナチュラルホルンを吹き、鹿を呼び寄せるという行事である。
「明治25年に鹿園(ろくえん)の竣工のあとにラッパを使って鹿を集めたのが始まりで、その後ナチュラルホルンに変わった」と、解説がある。
「鹿の主食は草と葉、鹿せんべいはあくまでもおやつ、鹿寄せではドングリを与えるが、これは朝食ではなく、ごほうびのお菓子」とのことである。

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ホルンが吹かれる

ホルンの音色で鹿が集まってくるが、僕の予測とは異なり、北の方からはじめに鹿が現れて、その後に鹿苑方面からも現れた。こういう予測違いは写真撮りには、大違い。ところが孫は、「あっちから、こっちから鹿が合流してすごかった」と、これが大喜びである。

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ドングリ大喜び

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鹿愛護会のHPにアップするための撮影が行われた。真ん中あたりで面白なさそうな顔をしているのが孫。こんな顔をしているけど、でもすごく感動していた。

鹿愛護の会のホームページには

なつの奈良旅キャンペーン
なつの鹿寄せナチュラルホルンの音色で鹿を呼び寄せる、奈良の風物詩。奈良公園にデビューしたばかりの子鹿たちにも出会えます。日時:7月19日・20日・25日・26日、8月1日・2日・8日・9日・15日・16日・ 22日・23日・29日・30日
9時から(15分程度・雨天決行・荒天中止)料金は無料
場所は春日大社内飛火野(奈良公園)

保護啓発ポスターの募集受付もアップされている

第11回国の天然記念物「奈良のシカ」保護啓発ポスターコンクール作品募集 受付期間 7月1日(水)~9月15日(火)対象:全国の小学生
テーマ:「奈良のシカ」を対象として、愛護を呼びかける内容を表現して下さい。
※絵の内容にふさわしい標語を入れて下さい。



飛火野の夏の鹿寄せは、残りは23日、29日、30日でわずか、午前9時からである。
そして、「夏休みの孫もり」、これもあとわずかとなった。
by koza5555 | 2015-08-22 14:51 | 奈良 | Comments(0)

国内旅行旅程管理主任者

旅行業者国の関係を定めた法律は「旅行業法」、旅行業者と旅行者の間の権利・義務を定めた者は「旅行業約款」という。

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こんな勉強をしてきた

あっちゃんが関わるツーリストエキスパーツという会社で添乗員になるための勉強ができると聞きこんで、僕も一緒に申し込んだ。丸々の四日間、それなりの受講料で試験もあるという。お盆明けで他の日程は無かったので一緒に申し込んで、これを受講したのである。

旅行会社が募集する旅行(いわゆるツアー)や、依頼を受けて段取りをとった旅行(受注型)、これを合わせて、旅行業法では企画旅行というのである。

この企画旅行の日程を管理する義務を旅行会社が負い、そのために旅程管理業務を行う者を置くことが求められている(旅行業法)。
この者を旅程管理主任者というのであるが、普通の言葉でいえば、添乗員のことである(旅程管理業務を行う主任のもの)。

企画旅行(募集型・受任型を問わず)には、旅程管理業務を行うものが同行しなければならない。


旅程管理を行う主任の者には次の講習が必要である。

旅程管理業務に関する研修の課程を修了していること
旅程管理業務に関する実務の経験を有していること

したがってこの講習のカリキュラムは
法と約款、それから添乗実務を勉強して・・・試験があり、それに合格すること
有資格者である主任添乗員の指導の下に行われる研修旅行に参加すること、
とされるのである。

旅行業者にとって、旅程管理とはなにか、守れなかったときのペナルティはどうかなどの勉強もすることができた。

添乗員の業務のあり方、進め方についての勉強もあり、添乗3000回というベテラン添乗員の講義も受ける。

こんな具合で、都合3日間の講義をうけて、最後の4日目は実地研修である。
貸切バスでの関空までの往復、ホテル日航関西空港での食事と見学、関西国際ターミナルの見学という日程だった。

バスの車内では、旅程とか訪問先などをマイク練習をかねてそれぞれが行う。生徒が次々と添乗員役となり解説したが、使用言語がすごくて英語、中国語、ドイツ語と多彩である。

そのうち、僕にもマイクが回ってきた。
帰りの空港橋だったので、最寄りの日根野が日本霊異記に出てくることを紹介して、当地が古代から開けていた場所だったとか、万葉集を少し語ったりで、あまり添乗のお話しとは言えなかったが(笑)。


関空で仕事をしている近畿日本ツーリストの社員が、お客様を送り出す立場、迎える立場の目で空港を解説をしてくれた。お客で何度訪れても気が付かない違う目である。

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空港で解説を聞く

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国した時、ターンテーブルでトランクを取り、ゲートを出てくる。ここら辺りは「着いた着いた」と、後ろを振り返ったことがなかったが、改めて迎える立場で掲示を見ると、表示はなかなかおもしろい。関空に向かっている飛行機のそれぞれの場所も示されていた


僕が受けているJTBの美仏ツアー、NHKカルチャや大人の学校のウォークなどは添乗員がいたり、バスガイドがいたり、団体の代表者がいたりで、僕が添乗の仕事をする必要はないのだが、自分の役割を見直すことができるとても良い勉強ができた講習だった。

間もなく、「旅行業法と約款、添乗実務の所定の研修を済ませた者」、「主任添乗員の指導の下に行われる研修旅行に参加した者」という証明書を手にすることできる予定である。
by koza5555 | 2015-08-20 23:59 | 奈良 | Comments(0)

旅の流儀 玉村豊男

「旅の流儀」玉村豊男である。中公新書から、2015年6月15日刊行、新刊本です

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旅とは何か、旅館の食事から解きおこす。

「都会に住む人口が田舎に住む人口を上回った。その頃を境にして、旅館の食卓の風景が変わったのではないかと、私は考えている。」
「山の中の宿に泊まったら、鹿の刺身と猪鍋と、近くの川で獲れたイワナの塩焼きが食膳にのぼった。あたりまえだといえばあたりまえだが、新しいと言えば新しい。つい最近まで、どんな山間の旅館でも夕食にはマグロの刺身が出るのがあたりまえ」。

非日常の経験が旅というもので、「ライフスタイルの都会化が旅館の食卓の風景を変えた」とある。

「私たちは山に住んでいるから山の風景が好きだが、旅に出るときは海の景色を見たいと思う。どんなに素晴らしい山の風景を見ても、家にいるときとあまり変わらないので、旅をしているきがしないからだ。山に住んで、ときどき海辺を旅をし、誰かがさばいてくれるおいしい魚を食べるのがいちばんよい」。


「風評被害」の話もあれこれで、これがおもしろい。
たとえば、天気予報である。
天気予報により旅の準備を変え、さらには行先も変えたり、これは普通のことである。
雨や風が強くなりそうというと、観光地の影響は大きい。天気予報が外れて、実際は晴れでも取り返しがつかないし、降りもしないのに雨と言われた時の落胆は大きい。
「天気予報は晴れる日に『お出かけ日和です』と言うのはよいが、雨の日も『雨に濡れた緑は美しいですよ』とか・・・人が出かけるような言葉をかけてくれないだろうか」。

奈良の寺社・旧跡を歩く僕のツアーでも、これが難題で雨の予報で参加者が激減ということもあるのである。今後は、お誘いのチラシでは、雨のとき、雪のとき、どこが、どんなにすばらしいか・・これを、必ず書こう。
そうは言っても、「ウォークの雨が嫌い、雨は危険」という方は来ないかもしれないが(笑)。

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今年の5月の葛城山は、雨上りの素晴らしいツツジが見れた。。雨の予報で土曜日だったが、ロープウェイも楽に乗れた。素晴らしい霧の中のつつじであるが、快晴のつつじを何度も見ていれば、これはこれで新鮮なのだが・・・評価はなかなか難しい


さて、安全な旅、これに心がけねばならない。
「団体旅行を成功させるということは、金魚鉢の水をこぼさずに運ぶということである」と、若いときの添乗員時代に教えてもらったとあり、身に染みていると紹介されている。

最後に、「観光は平時最大の産業である、といわれる」と述べている。
戦争と比較してであるが、「戦争はなくなることがあっても、観光は決してなくならない」

ちょっと、僕の意見をさしはさめば、「戦争はなくならいし、観光もなくならない」であるが、「だからこそ、平和と安心を求めて、どこか心の休まる場所へ、できれば心を楽しく浮き立たせてくれる場所へ、出かけて行こうとするに違いない」


ガイドをやってみようかなという方、「ぜひ読んでほしい」、そんな本である。


ほうらんや 8月15日、昨日、斎行された

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8月15日は橿原市の東坊城町のほうらんや。お昼に春日神社に奉納し、夕刻にかけて八幡じんっじゃへの奉納のである。東坊城8垣内の祭りで、松明は6垣内が参加する。
お盆に家を出られる方(けっこう出にくい日ですけど ( 笑 )、せひとも、一度 お出かけてください

by koza5555 | 2015-08-16 11:37 | 読書 | Comments(0)

明日香村 中央公民館図書室

明日香村の図書室を時々利用する。明日香村中央公民館の東側に分館があり、その二階である。
靴を脱いで二階に上がる、小さな図書室だが、郷土資料や歴史関連の書物が充実している。村外者(県内外)の利用と貸出も自由である。貸し出しは一人8冊、二週間となっている。

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明日香村 中央図書館資料室

ここで「飛鳥発掘物語」、河上邦彦さんの本を見つけた。その後、調べてみると桜井図書館にもあったが、並べ方が違っていたりで、こちらで目に留まった。

産経新聞(大阪本社版?)の連載、「飛鳥発掘物語」をまとめたものである。
平成16年刊行で、14年から15年頃に連載されたものである。
飛鳥池工房とか亀形石、植山古墳の発掘など、明日香がわいていた時期を受けての記事である。

飛鳥の古墳、寺院遺跡、宮殿遺跡を発掘した人の目で、そのエピソードを100回にわけて語ったというもので、おもしろそうである。

飛鳥の発掘の原点は「石舞台」。当時は「古墳の発掘は副葬品の発見が目的」という時代に、「巨石の石積み技術の解明」と発掘が始まった歴史が紹介されている(p12)。


見瀬丸山古墳と檜隅陵では、神を数えるときの数詞を問題にしており、柱を立てる祭祀は山から降ろされた柱を祀るとみて、またいまも山の中に坐する大神神社のことなども紹介している(p37)。


水泥南古墳では、「石棺の制作時期を見誤った理由」の紹介があった。
縄かけ突起は小さいものとみられていたが、羨道が狭くて入れられないため、削られていたことが分った。もともと突起の全てが出ていれば、石棺は六世紀末のものとみるべきだった。
突起を削って入れるとき、レリーフとして蓮華文も彫ったとみるべきらしい、そして、その時期は7世紀前半だったとのことである(p54)。


「太子墓の井」。江戸時代の「太子御廟図」に記されているが、「丸に井」というものがあり、岩屋山古墳にもそんな穴があったとのことである。
これは井戸というより集水穴で、古墳内の水を溜めるところとのことである。
文殊院東古墳の「井」は本物の井戸で、これは後世に掘った宗教的なものである。
また岩屋山古墳には、石室の入り口の天井にくぼんだ溝が掘られているが、これは伝ってきた水を中に入れない装置とのことで、文殊院西古墳にもあるのである(p63)。 

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天井のくぼんだ溝・・・安倍文殊院西古墳である

同じ工人が作った双子の古墳というのも、具体的に指摘があり面白い。
たとえば、
明日香の岩屋山古墳と桜井のムネサカ一号墳
橿原市の小谷古墳と天理市の峯塚古墳
桜井の越塚古墳と平群の烏土塚古墳、
桜井市の狐塚古墳と御所市の水泥北古墳
などで、これは設計図が一緒か、同じ工人か(p66)との指摘である。


さらに、明日香の石文化が端的に解明されている。
河上さんによれば、
益田の岩船は未完成の横口式石槨
亀石は未完成の塔心礎(大阪府羽曳野市に野中寺《やちゅうじ》の塔心礎に線刻された亀
を相似としてみることができる)。

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これは明日香の亀石。これもなんやろうと話題は尽きないが、河上さんは一刀両断である

あと、不明は酒船石だけやな。残念ながら河上さんはこのシリーズでは酒船石は取り上げていない(笑)

高松塚の壁画の解説も独創的である。
古墳は風水思想の四神図にかなう、「龍穴」の場所に作られたが、高松塚とキトラはそれに適わず、墓室内に四神の絵に描いて代用し、「四伸相応の空間を作り出した」と解説されている。
なるほど、とは思う。
河上さんによれば、高松塚やキトラは龍穴にそわないとみられて、作る人もそれを自覚しながら、墓室内にあれだけの四神図を描いたという論である(p121)けど・・。

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こんなことで、明日香を歩いたり、ガイドのネタ満載の、「飛鳥発掘物語」、この本はおもしろい。

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馬見丘陵公園。明日香村からは遠いが、8月8日(土)にひまわりを見てきた。
馬見丘陵公園は今年は5万本植えたとのことで、今までの5倍、見ごたえあった。夏の馬見丘陵公園は注目だが・・「7月末から8月上旬にツアー」と、そんなわけにもいかないが。
by koza5555 | 2015-08-10 17:49 | 読書 | Comments(0)

ヴェリタ 「校正という仕事」

「てにをは」の誤りとか、「主語はどこ?」とか、「誤字」などを指摘されると、どんな感じです?
こういう誤りは、それなりに素早く受け止められるが、思いを入れた文章に、「意味不明」とか、「こだわりすぎ」などと批判され否定されると、落ち込み、さらに素直にはなかなか受け止めれなかったりするのである。

日ごろからそんなことを考えて暮らしていて、桜井図書館で、「校正という仕事」という本を見つけて、まずはそのタイトルに強烈に引き寄せられてしまった。

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校正という仕事

新潮社(単行本)、共同通信社、商業印刷、朝日新聞、出版(プレジデント)、雑誌などの校正を長年務められた校正のスペシャリストが、校正会社 ヴェリタの研修で話されたことをまとめた本である。
本づくり、新聞編集、雑誌作りの中心に座っている方の本で、本作りなどの臨場感もあり、校正の仕事がよく理解できるように解説されており、これは本好きにはたまらない、そういうご本となった。

校正と一言でいうが、その中には校正もあれば校閲もあると解説されている。
校正は原稿通りに活字が組まれているかのチェックで、校閲は原稿や刷りだしで、その内容の正しさ、妥当性を調べる、確かめるという仕事とされる。

さらに、活字で組むは今はありませんし、手書きの原稿も激減でしょうから、校正・校閲の区別も微妙である。

校正・校閲の具体的な進め方は、単行本、雑誌、新聞と大違いではあるが、激しい失敗談や重大な誤りを発見して、著者や編集者に提示することが出来た成功談などがさまざま語られている。

そして、校正・校閲は著者・編集者と校正が対立するものではなく、その共同作業で本や雑誌が作られていく事もとてもよく分る。


●校正してくれる方に感謝すること

●ブログやFBは「自分校正」である。誤字・脱字の文書を読むのは嫌なものだが、自分の書いたものをきちんとチェックして責任を持つこと。

●余り校正の反省ではないかもしれないが、楽しいこと、美しい風景、素晴らしい営みを、書き続けること。


「校正という仕事」 ヴェリタ編集。世界文化社が2015年6月15日発行。僕は桜井図書館で借りて読んだが、定価は1500円+税。


さて、お話は変わるが、室生寺は曝涼展を開催、7日と8日である。
真言八祖図など見応えも多い。今年から入山料とは別に300円必要となったが、室生寺、独特のお菓子でお抹茶をいただくこともできる。
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会場は慶雲殿。右側の石柱は昨年まで門前にあった玉木愛石の書を刻んだものである

by koza5555 | 2015-08-07 23:47 | 読書 | Comments(0)

又吉直樹 火花

「どこの本屋も売り切れ」という話題の新刊本でも、わが家の近くの本屋は大体残っているのであるが、ところが・・「火花」は、売り切れ、無かったのである。

あれこれあって、昨日、手に入って、読んでみた。

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徳永には神谷という師匠がいる。
芸能界のしきたりはよくわからないが、この場合の師匠は漫才の師匠ではなく、人生の師匠でもなく、これは芸能人として刺激を受ける師匠みたいなものだろうか。

徳永の師匠、神谷との会話を通して、物語がつながっていく。

いつもの如くではあるが、話の本筋とは関係のないところで、僕は立ち止まったり感心したりである。

漫才の形の作り方がよくわかった。
話を作り上げ練習することは「ネタ合わせ」。「ネタを考えながら口で合わせるときは新宿の喫茶店。じっさい立って合わせるときはこの公園が多かった」とか、「暇さえあればネタ合わせをやりたい僕」とかと、練習の様子も語られていく。
 
話芸だけでお客をつかむ、そして漫才は二人でやるんだから、話を作り上げていく過程も、練習もすごいんだろうなと思う。

「表現の幅に大きな差があった。神谷さんは面白いことのためなら暴力的な発言も性的な発言も辞さない覚悟を持っていた。一方、僕は自分の発言が誤解を招き誰かを傷つけてしまうことを恐れていた」、と漫才で何を目標とするか、何を語るかという苦労は、万国共通である。
巻末まで読むと、ここら辺りが小説としては、重要なテーマとなっていると思う。

「面白いことのためなら暴力的な発言も性的な発言も辞さない覚悟」というのは、僕もあこがれるが、現実にはとても無理でもある。

ライバルたちの芸を見ることを激しく嫌うくだりもあったりして、これもよく納得できた。

さて、徳永も神谷も実は又吉直樹の実像かもしれない。

小説は面白かったが、又吉の漫才を見たいとは思わなかった。


「好きなことやって、面白かったら飯食えて、面白くなかったら淘汰される」には、考え込んだ。
僕はいま、ガイドや講演で相当忙しい日を送っているけど、体力や年齢もあり引き際も考えたりするのである。
それを反省した。自分に激しく引き寄せて考えてしまったが、「淘汰されるまで」は頑張ってみようか・・である。
by koza5555 | 2015-08-06 14:45 | 読書 | Comments(0)