今年の「かぎろひを観る会」は29日である。旧暦の11月17日に行われることから、今年は29日。大宇陀かぎろいの丘万葉公園で開催される。
「人麻呂の歌が詠まれたとされるこの日に『厳冬のよく晴れた夜明け、日の出1時間ほど前に現れる最初の陽光』という説に基づく[かぎろひ]をたき火を囲んで待つ。阿騎野朝市などの催し物が行われる」(宇陀市観光サイト)。
旧暦の11月17日は「壁画・阿騎野の朝」を描かれた中山正實さんが東京天文台の協力を得て、持統6年(692年)陰暦11月17日午前5時50分頃と決めたとのことである。
この日が満月という事なんですよね。
あいにく重たい雲がたちこめて、かぎろひは出なかった。しかし、万葉集が好き、柿本人麻呂が好き、阿騎野が好きという方がいっぱい集まった。
そして大きな篝火が焚かれ、参加者には葛湯がふるまわれた。
16日の古事記ツアーで阿紀神社を訪れた時、能楽堂の前で「かぎろひを観る会の日にここに生け花を活けます」という女性に会った。
「大きいなあ、どうしょうか」と考えられて見えたが、それも見てきた。なるほど、こんなふうに活けられて、能舞台に良く映える花だった。
阿紀神社、能舞台と生け花
春、「大海子皇子、東国発ちをたどる」というツアーを案内した。
愛知県の稲沢の歴史研究会のリクエストだった。
コースは宮滝、宇陀吾城、甘羅(かむら)、菟田郡家(うだのこおりのみやけ)、大野、隠駅屋(なばりのうまや)である。その先は僕の守備範囲外ということでガイドを他の方に譲った。
その時、かぎろいの丘に登った。
下見の時から見てはいたが、ここに柿本人麻呂の阿騎野の長歌と短歌一首の歌碑が置かれている。
持統天皇6年(692年)の柿本人麻呂、阿騎野の歌(長歌一首、短歌4首)である。
さすがに「東の野にかぎろひの立つみえて かへり見すれば月傾きぬ」(巻1の48)は読めたが、そのとき長歌が読めなかった。
今日はそれを、小声だが、朗々と読み上げて帰ってきた。
万葉集 巻1-45 柿本人麻呂 長歌