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奈良・桜井の歴史と社会

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三宅町(磯城郡)と「あざさ」(学名はあさざ)

万葉集に三宅(磯城郡)の歌がある。長歌と反歌であるが、それぞれ「うちひさつ 三宅の原ゆ」とか、「父母に 知らせぬ子ゆゑ 三宅道の」と三宅が読み込まれている。

そして、この長歌には「あざさ 結ひ垂れ 大和の 黄楊(つげ)の小櫛(おぐし)を」とあり、「あざさ」が歌われた。
「あざさ」、学名はあさざ(浅沙・阿佐佐)というが、万葉集に出てくるのはここ一回だけである(現職万葉植物図鑑 小村昭雲)。

この花がいま、咲いている。三宅町が熱心に植えているのだ。
あさざは絶滅危惧種に指定され、霞ヶ浦だけといわれているが、東海地方の猿投にもあるとも言われている。三宅町はしばらく前に霞ヶ浦から手に入れて、町ぐるみで育てているとのことである。
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こんな花である。直径2センチくらいである

もう少しアップすると・・・
三宅町(磯城郡)と「あざさ」(学名はあさざ)_a0237937_21481786.jpg


実は奈良交通の「歌って巡る万葉の旅」で今年の12月に三宅町に行くのである。「12月のことを今から準備するのか?」といわれる方もいるでしょう。

万葉集で奈良盆地の中南部を案内するとなると、話しやすい歌が少ないのである。
三宅町に寄りたい。万葉歌はこれしかない、そしてその花はいまという具合だったのである。
たとえ、ツアーは12月でも、花の咲いていうる、今の時期を見てこなければならない。

この歌は長い歌だが、、眺めるだけでも、見るだけでも楽しんでください。
長歌の前半は父母からの呼びかけ、心配の歌。後半は息子からの返答の歌ということで、これも型破りの歌なのである。
三宅町(磯城郡)と「あざさ」(学名はあさざ)_a0237937_2151557.jpg
歌碑である。犬養孝 揮毫であうr。

うち日さつ 三宅の原ゆ 常土(ひたつち)に 足踏み貫き
夏草を 腰になづみ いかなるや 人の子ゆゑぞ
通はすも吾子(あこ)
うべなうべな 母は知らじ うべなうべな 父は知らじ
蜷(みな)の腸(わた)   か黒き髪に 真木綿(まゆふ)もち
あざさ 結ひ垂れ 大和の  黄楊(つげ)の小櫛(をぐし)を 押へ刺す
うらぐはし子 それそ我が妻   (巻13)3295  

反歌
父母に 知らせぬ子ゆゑ 三宅道の  夏野の草を なづみ来るかも(巻13)3296 作者未詳
by koza5555 | 2013-06-05 22:43 | 盆地中央
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