奈良をガイドする。
山があり、川を話す。
社寺仏閣の歴史的遺産のガイドとなると、その歴史、建物、仏像であったり特別の文化をふれねばならない。
歴史を語っても、古代から始まって近世・現代という感じではやはり能がない。
さまざまな物を目の当たりにしながら、話を「一気に古代に飛ばす」ような形が、面白い。
今日は建物の話である。
「宮大工と歩く奈良の古寺」(文春新書)、小川三夫i本を読んだ。
「大陸から入ってきた文化を日本人がどう受け止め、日本の風土に溶け込ませ、自分たちの美を追究したか」。著名な奈良のお寺でそれを検証している。唐招提寺の金堂である。見事な円柱群である。
見事な円柱群で、美しい空間がある
同じ間隔ではなく、真正面が広く、左右の横にいくにつれ狭くなっている。
聞いてはいたが、真中が16尺でその左右が15尺、そしてその外が13尺、一番外が11尺とのことである。
端を丈夫にという考えもあるが、正面に立ってみると広がりを感じさせる工夫という。
屋根についても勉強した。
屋根の曲線は縄だるみという。
てっぺんで縄の端を持ち、反対の端を軒先で持つ。これで一番素晴らしい曲線が出るという。
一方、小川さんは「石垣の曲線は鎖だるみ」といい、鉄鎖で同じことをすると直下に近く下がり最後に見事な曲線が出るという。
日本の寺社は軒が深い これは大量に降る雨の対策で、日本独特のものである。
大工さんなどとはなしていても、「屋根から水が入らなければ、木造建築は強い。瓦や水の処理が鍵」と言われるが、雨対策を住した軒の深さがよく理解できる。
で、そこに難しさがある。
隅垂木。 それを支える柱の上の肘木(ひじき)、斗(雲斗)とかの位置を改めて勉強した。
虹梁(虹のような梁)の役割もよく理解できる。
法隆寺や法輪寺、法起寺。
西の京であれば、薬師寺に唐招提寺。
東大寺と興福寺、元興寺をふれている。
それ以外にも、十輪院、室生寺、秋篠寺、長弓寺などをふれており、興味は尽きない。
一読をおすすめする。
天平、白鳳、弘仁の建築物が身近に寄ってきてくれる。