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奈良・桜井の歴史と社会

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西大寺と大茶盛

今年も元気にツアーを案内することができた。
一月から十二月まで40回を超えるツアー・講演で千名というお客様に、お聞きいただくことができた。
ご参加のみなさんに、あらためて感謝申し上げます。

一つ一つが大事なツアーであったが、「西大寺で大茶盛」は、特に思いがこもった。これをテーマに3回のツアーを行い、80名の方を案内することができた。

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大茶盛の図

近鉄の西大寺駅、南口に、午前10時集合である。
西大寺南口はとても狭く、集まり次第出発で、西大寺四王金堂前にて初めの解説である。
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西大寺は南都七大寺のひとつ。藤原仲麻呂(恵美押勝)の謀反に対して称徳天皇が四天王像を発願したことに始まった。

「発願した称徳天皇」、「それを勧めた道鏡(法王)」と、「乱を起こした藤原仲麻呂(恵美押勝)」の三名を軸に語らせていただいた。人を紹介しながら、解説することは日ごろ心がけるているところである。

さらに、中興の祖、叡尊上人を忘れてはいけない。上人が信仰したのは、ご本堂に安置されている文殊菩薩である。文殊菩薩は知恵の仏であるが、貧民救済の現実的な仏という点に叡尊は注目している。

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西大寺の大茶盛式は叡尊が延応元年(1239年)正月、菩薩流(密教の秘儀)の修法を行って、国家安泰、万民の幸せを祈り、結願に八幡宮に献茶、その余服を衆生に振る舞われたのがはじめと言われる。

西大寺の境内で昼食を取った。
西大寺は境内で食事をすることができる。特別の許可はいらない。
ウォークのコースづくりは、「なに見るか」、「どこで食事するか」、「トイレは大丈夫か」である。最悪の天候も考えてここをきちんとしておかないと、みじめなことになる。さらに、「なに買うか」まで目当てがあれば最高であるが。
食事後、西大寺奥ノ院に向かう

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奥の院(体性院)は叡尊の荼毘所で石造五輪塔が現存している。
五輪塔は下から、地輪は方形(六面体)、水輪は球形、火輪は宝形(ほうぎょう)屋根型、風輪は半球形、空輪は宝殊型によって表され、塔の相輪の役割を果たしているという見解もある。
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ストゥーパ・相輪・五輪塔である


秋篠寺に向かい、まずは八所御霊神社である。
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秋篠寺を拝観する。天上界の歌を口ずさんでいるような口元の伎芸天像が特に有名である。

神功皇后陵(五社神古墳)、垂仁天皇の皇后である日葉酢媛命(狭木之寺間陵)を経て、
最後に孝謙(称徳)天皇陵を訪れる。
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孝謙天皇陵(高野陵)

このツアーは、大茶盛を楽しむツアーであるが、やはり孝謙(称徳)天皇がテーマである。
この陵(この場所は考古学・歴史学的にみて、陵として認められていない)を前にして、広大な陵墓が人々の記憶からすぐに失われていった歴史を振り返るツアーとして仕上げてみた。

近鉄西大寺駅、北口解散、午後4時である。

西大寺の大茶盛は、30名以上、お一人1000円(本堂拝観を含む)でお願いすることができる。ただし西大寺の日程が許す限りである。
by koza5555 | 2014-12-30 11:34 | 奈良
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