人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

奈良・桜井の歴史と社会

koza5555.exblog.jp

川西町 光林寺と富貴寺と六県神社

11月30日の当尾ツアーの帰り道、川西町の川端さんから、「川西の保田(ほた)、うちの阿弥陀如来も見に来て」と声を掛けられた。
「参ります」。ちょっと確かめてみると、これは快慶の作で重要文化財とのことである。
「切れ長の眼、魅力的な口もとの笑みは快慶仏の魅力を十分に見せていて、円熟の境に浸った作風である」と『大和のかくれ仏』(清水俊明著)でも、しっかりと紹介されている。

電話をかけてみて初めて分かった。川端さんはこちら、光林寺(浄土真宗)の住職夫人だった。


そっそく、拝観させていただいた。
浄土真宗と阿弥陀如来、これは基本の形だが、快慶作ということで、「これは客仏か」とも考えたが、きっちりご本尊・・・
内陣からも拝観させていただいた。80センチほど、端正なお姿で衣のひだが写実的である。
お顔は清水さんが言われるように優しさ一杯だった。
「法眼 快慶」とのことで、これは快慶の晩年の位である。

川西町 光林寺と富貴寺と六県神社_a0237937_23253415.jpg

左側に榧(かや)の巨木。実も収穫してオカキに入れる・・とか


100メートルほど南には六県(むつがた)神社、そしてその神宮寺として富貴寺。

川西町 光林寺と富貴寺と六県神社_a0237937_23282673.jpg

境内右手に寄棟造りのご本堂。この建物が、重要文化財。
「1178年に初めに堂を建立、現在の堂は1388年の建立」と江戸時代に柱に墨書(1679年)されているとのことである。

川西町 光林寺と富貴寺と六県神社_a0237937_23293877.jpg
 
川西町 光林寺と富貴寺と六県神社_a0237937_2330339.jpg

保田の宮座といい、宮座で六県(むつがた)神社と富貴寺が管理されていたようであるが、川西町史(平成12年)によれば、六つのカイトの代表による敬神講で運営されている様子。

釈迦如来坐像と地蔵菩薩立像は重要文化財に指定されている。
釈迦如来像(重文)は、高さ84センチの桧材による寄木造で平安時代後期。
本尊の向かって右に安置されている木造地蔵菩薩立像(重文)は、高さ96センチの桧材による寄木造で彫眼、古色の声聞形立像である。
 

最後に六県(むつがた)神社
延喜式に載せられている。
広瀬郡と城下郡の境目にある。

祭神は、六県命で、
高市命
葛木命
十市命
志貴命
山辺命
曾布命
で、式内社として存在していた大和の六御県(むつのみあがた)のすべてを祀る式内社である。
川西町 光林寺と富貴寺と六県神社_a0237937_23315296.jpg


2月11日(祭)に行われる「子出来おんだ祭」が有名である。豊穣と子孫繁栄を願う神事である。
by koza5555 | 2016-12-01 23:41 | 盆地中央
<< 『古代大和へ、考古学の旅人』 ... 森浩一著作集 ① 古墳時代を考える >>