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黒塚古墳。130メートルほどの前方後円墳、3世紀から4世紀のものである。
墳丘は、中世・近世に砦、お城として使われた歴史があり、改造が著しい。
竪穴石室は後円部の中心、南北にむけて設けられていた。石室に関わる施設では、前方部につながる鞍部から作業道(墓道)が発見されていて、葬送の儀式の入り口、石室を作るための作業通路として使われたらしい。
盗掘や開発を逃れて、1997年、タイムカプセルのように、埋葬当時の状態で発見された。鎌倉時代の地震で石室の一部が崩落していたことが幸いであった。
これを復元した、展示館が設けられていている。古墳に登れて、石室模型が見れて、34面の鏡が見られる、県内では稀有の最良の勉強と楽しみの場所である。
棺の外側に33枚の三角縁神獣鏡が置かれていた。棺の中、一枚の画文帯神獣鏡が置かれていた。北枕の遺体の頭の上である。
「邪馬台国は纒向」というツアーで何度も訪れた。
そのツアーでは、「不思議な鉄パイフ遺物」を、「難升米が受け取ったとされる黄憧の可能性がある」などとガイドしてきたが、34枚の鏡についてはあまり語れてこなかった。ちょっと反省するのである。
昨年に橿原考古学研究所が、「黒塚古墳のすべて」という展示会を行っている。
面白い図録も出ているし、三次元計測という技術を駆使した素晴らしい写真も出ていることが分かった。一つの鏡を測るのに、400万点を計測する(撮るのではなく)という技術らしい。
データベース化もすすみ、同范、同型鏡は一発で判明である。
そんな研究によると、どうも黒塚古墳の鏡はすべてが舶載鏡らしい。
今度のツアーは三角縁神獣鏡、大いに語ってみたい。
まずは、黒塚古墳の三角縁神獣鏡のことである。
●直径が23センチ程度で大型
●断面が三角形の縁
●漢字を用いた銘文がある
●神像と神獣が描かれる。西王母、東王父
発掘された角縁神獣鏡のことである。
まず、同范、同型鏡という言葉を紹介したい。
同范は同じ鋳型を何度も使う。同型は母型から何度も鋳型を作り、使用する。区別は鏡の傷(鋳出しの時)などからわかるようである。
日本には三角縁神獣鏡は140種類、380枚が発見された。黒塚古墳からは33枚出ているが、黒塚だけというのは3枚しかないとのことである。言い換えれば、ほとんどが流通版だという事である。
中国の鏡の始まり。中国鏡の文様は、もともとは装飾的な図柄が中心だったが、前漢時代(紀元前202年から5年まで)の終わりころに世界観、宗教観を示す図柄が現れる。図柄は四神や霊獣などであった。
後漢時代(25年~220年)には、神仙と霊獣を描かれた神獣鏡が登場する。
西王母などの人の姿の仙人が不老不死の象徴となってくる。
道教の強い影響が感じられ、鏡の所有者には福がもたらされると信じられた。
国内、とくに畿内で大量に埋蔵されたとみられる画紋帯神獣鏡、三角縁神獣鏡は、これらの鏡の紋様をそのまま引き継いでいる舶載(中国産)、もしくは仿製(国産)の鏡である。
黒塚古墳の資料館では、たっぷりとこの図柄を楽しむことができる。
24号鏡と8号鏡を僕は注目してみたい。
24号鏡。名前は「三角縁天王日月・唐草紋帯四神四獣鏡」
この鏡の同范・同型鏡は全国に分布している。
奈良 佐味田宝塚古墳
京都 椿井大塚山古墳
兵庫 吉島古墳1号墳
2号墳
滋賀 雪野山古墳
静岡 赤門上古墳
東京国立博物館
直径は23.7センチ
西王母、東王父を感じ取ってほしい。
8号鏡も人気者。三角縁神獣鏡龍虎画像鏡
同范・同型なし。ここだけ、これだけオリジナル
平壌(北朝鮮)画紋帯同向神獣鏡(後漢代の後半)には、
東王父、
伯牙(はくが)琴の名手。事の調べで陰陽を調和させる。
黄帝(こうてい)。中国の神話では最高の帝王。巨悪な蚩尤(しゆう)を滅ばす。しゆう・・農耕の神か。人の体で頭に角、足にはヒズメ、81体の同じ形の兄弟がいる。
が描かれている。
これは、今回見れるものではないが、鏡を見るうえでの必須の
西王母がいて、東王父がいて、伯牙、黄帝がいる。
ここらあたりが見とれるだろうか。
クラブツーリズムのツアーの「古事記でたどる大和の旅」の「ヤマトタケル編」で、こんなことをお話ししたい。18日(水)は満席、21日(土)はアキがある。
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