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奈良・桜井の歴史と社会

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古代の醸造、酒造りのあれこれを

『卑弥呼は何を食べていたか』。廣野卓著。2012年。

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「卑弥呼の呪術と桃」については先日、書いたばかりだから、廣野さんが書いたテーマから、古代の醸造、酒造りのあれこれを考えてみたい。

先日、古事記をテーマに大神神社を案内した時、酒作りが話題になった。

「この神酒(みき)は、わが酒ならず、大物主の醸みし神酒」である。古代の酒造りは人が米、味飯(うまいい)を噛むところから始まったとされる。

「未婚の女性が噛んだと聞くけど、大物主が噛んだ酒だろうか。大物主は女性だろうか」という質問だった。ソムリエの会の古事記ツウ、神様ツウの田原ガイドもタジタジとなった。

これを考えてみた。

お米を炊いて、それを噛んだコメ作りはあったようである。

しかし、それを古代の人も不潔感を感じていたという証拠がある。

乙女が噛んでも同じである。

「だから、神に噛ませる、神に醸ませる。それで不潔感を払拭」と、日本書紀の崇神条は書いたんではないだろうか」と、廣野卓先生が『卑弥呼は何を食べていたのか』で書かれている。

味飯(うまいい)を水に醸みなし 我が待ちし かひはかつてなし 直にしあらねば(巻16-3810

『大隅国風土記』である。ある家が米と水を用意して村に告げまわります。村の男女が集まってコメを噛んで酒槽に噛んで入れます。酒の香りがしてくると、また集まってそれを飲みます。これが口噛みの酒。噛んでペッである。

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しかし、やはり不潔という意識はある。現代人は無論のこと、古代の人も同じである。

スサノオ命の神話を思い出してほしい。穀物神オオゲツヒメが口から食物を出して饗応したので、スサノオ命は不潔だと怒ってオオゲツヒメを剣で斬っている。

この不潔感を払拭するために、未婚の乙女が噛んだり、村人全員で噛んだ。

さらに不潔感はぬぐい切れないので、「この神酒(みき)は、わが酒ならず、大物主の醸みし神酒」として、「神様が噛んだ酒」だからと、不潔感を払拭した。

大物主は女性ではなく、男であるが・・神である‥というのが結論である。

神と酒の歴史では、大神神社の大物主が酒の関わりの大本である。

『崇神記』には、大田田根子を祭主として、高橋活日を掌酒(さかびと)に定めて、大物主神を祀らせてとしている。

「この神酒(みき)は、わが酒ならず、大物主の醸みし神酒 幾久 幾久」

これが縁起となって大神神社の祭神を酒神とする伝承が生まれる。神酒と書いてミワと訓するようになり、味酒(うまざけ)が三輪山の枕詞にもなる。

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ところがこの酒の神はスクナヒコ神が本来の神の可能性があるというのが、廣野卓先生の託宣である。

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      大阪市土修町の少彦名神社

大神神社は三輪山の奥津磐座を大物主神、中津磐座を大国主神、辺津磐座をスクナヒコナ神を祀っている。

スクナヒコナ神は大国主神に協力して、さまざまな生産技術を伝授し、豊葦原の中ッ国を築く産業神で、薬神が祀られている。

製薬業界にも崇められる。薬の町大坂の道修町では、少彦名神社の祭日(1223日)を「神農さん」と呼んで和漢の薬神が祀られる。酒より薬ということだが。

『仲哀記』によれば、少彦名神が酒の神である。

「この神酒は わが神酒ならず 酒の司(くしのかみ) 常世にいます 石立たす 小名御神の 神寿き(かみほき) 寿き狂ほし(ほきくるほし) 寿きもとほし 献り来し(まつりこし)神酒ぞ 乾さず食せ(あさずほせ) ささ 」

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竜田大社の例祭の祝詞(天武天皇(律令)の頃から行われている)に照らして考えてみよう。

神酒ならべ 和稲(にごしね)・荒稲(あらしね)に

山やまに住(す)む物ものは

毛(け)の和物(にこもの)・毛(け)の荒物(あらもの)

大野原(おほのはら)に生(お)ふる物は甘菜(あまな)・辛菜(からな)

青海原(あをみのはら)に住(す)む物ものは鰭(はた)の廣物(ひろもの)

談山神社の百味の御食で、和稲、荒稲を語っているが、

海の魚、鰭(はた)の廣物(ひろもの)を教えてもらった。鰭(ひれ)が大きいと廣物でタイとされ、鰭が小さいと鰭狭物‘(はたのさもの)で鯉という。

鰭はあまり違いがないが、体高で決めていたらしい。

神饌を考えると古代の食物にあたるらしい。日常的に、あるいは特別に食べているものが神饌として供えられていたからだ。

食べ物と酒のことでした。


by koza5555 | 2018-07-03 21:15 | 読書 | Comments(0)
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