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奈良・桜井の歴史と社会

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音羽三山、下り尾・百市・飯盛塚の祭

談山神社の社報、「談」(かたらひ)の2ページ目は毎号、僕が書いている。
「多武峰の村の話を書いて」と長岡宮司に3年ほど前に頼まれた。神社のことより神社へのアプローチを書かせたい様子である。
神社の宣伝みたいな話はあまり書けていないが、それなりに話を探しながら、多武峰という山とか里を紹介している。
今回は音羽三山のふもとの村々・・下り尾(さがりお)・百市(もものいち)・飯盛塚(いいもりつか)の村の祭を取り上げてみた。

桜井市の中心部から南方を望むと音羽三山とよばれる山塊を望むことができる。北から音羽山、経ガ塚山、熊ガ岳である。今回は、この山々に祀られている神の姿、その祀り方を考えてみた。

下り尾(さがりお)から粟原川に流れ落ちる川の名は清滝川と聞いた。「清滝川といえば滝があるのか」と川沿いを歩いたが、滝は見当たらない。この滝へは川沿いではなく下り尾の神明神社の東側から登る道があった。登ること30分、清滝は轟々と流れ落ちていた。岩壁には不動明王が刻まれている。

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下り尾の東幸次郎区長にお聞きすると、「清滝のお祭りは七月の最後の日曜日。毎年、やっている」とのことだった。さっそく同行させていただいた。祭といいながらも参加者は鍬やカマを持参して小枝を片付けたり、石を積んだり、転がしたりしながらの「道作り」の風情である。道を補修しながら、音羽山の中腹まで上り詰めると清滝不動尊に到着する。持参したお米、塩、お酒などを供えて般若心経を読み上げる。
滝の水は、どんな日照りでも枯れることがないといわれる。清滝不動尊の祭は水源を見守る祭りであり、年ごとの豊穣の実りを祈る祭りだと思われた。
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山の上の神社と言えば、百市(もものいち)の住吉神社も紹介しておきたい。県道を多武峰に登っていくと寺川を挟んで左側に百市の集落が見えてくる。百市の住吉神社は村の奥深くの山中に鎮まり、10月の第一日曜日に例祭が斎行される。
祭の朝、神饌や祭祀道具を担って神社に向けて出発する。しっかりした登りを800mほど歩くと神社に到着する。登山とまではいわないけど、息が切れるしんどい登りである。
急な山腹に、長い柱に支えられて拝殿、本殿が建てられている。実はちょっとした祠みたいなものかと思って登ったので、この社を作り、維持してきた百市の力の入れ方に声も出ない。
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境内を掃除し、鳥居には榊と同じ感覚で青竹を立てて、祭が始まる。
秀麗な山の上に祀り敬ったという事かとも思えるが、「山の中に村があった。宇陀から針道、百市を経て倉梯へ出る街道沿いの村だった。人は山を下りたが、神様には下りて頂けないうちに百年が過ぎた」は西基之区長の言葉である。神社には「大神宮・村安全・おかげ」(天保3年・1833年)と刻まれたおかげ燈籠も残されていて、伊勢神宮にはこの地から旅立ったことも示されている。
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百市から県道をさらに上ると飯盛塚(いいもりづか)である。飯盛塚の杉山神社は村の上方の山中に祀られていたが、村の集会所の山側に二十年前に遷座されている。

この飯盛塚の秋祭に注目した。「祭は頭屋が中心となってすすめてきたが、時を経るにつれ行事の継続は難しくなってきていた。それで平成二十九年の秋祭から、頭屋の仕事は村(区)で引き継ぐことにしました」と、北浦孝文区長は話される。

祭の準備は第一に御幣を作ることである。その御幣は神前に奉幣され、一年間は村の会所に祀られる。第二は「お人形さん」作りである。太い藁縄、細い藁縄を組み合わせながらぐるぐると巻きあげる。中心は竹筒である。頭の上にはヒゲをつけるが、これは「ジャノヒゲ」で作ることが決まっている。形を整えてから、中心の竹筒に餅をいっぱい詰め込み、衣をつけて「お人形さん」は完成である。

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御幣と共に、お人形さんは区長に抱っこされてお渡りする。
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「お人形さん」を神前に飾り、奉幣を終えると、村人はトンドの周りに思い思いに座り歓談する。男も女も、老いも若きも、そして子供もたくさん集まってきて、ゴーヤの炊いたのとか、黒豆の煮たのを、おいしくいただく。

長く頭屋を務めてこられた方には感謝したい。そして頭屋の仕事を引き継いだ飯盛塚区の考え方は、村の習俗や文化を継続させていくための大切な方法だったと納得させられた。
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by koza5555 | 2019-02-14 23:00 | 桜井・多武峰 | Comments(0)
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