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奈良・桜井の歴史と社会

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池神社の御田植祭

磯城郡田原本町法貫寺宮ノ前の池神社の御田植祭を拝見した。正しくは池坐朝霧黄幡比賣(いけにますあさぎりきはたひめ)神社という。

『延喜式』の神名上(九)城下郡十七社の中に記されている神社に比定されている。中世以降はこの地に勢力をもった長谷川党とつながり、その氏寺である法貫寺の鎮守神となっている。

 

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 225日に近い日曜日に行われている。

 拝殿前の斎庭が神田になる。神田の中央と南の端に紅梅と蝋梅、松の花が立てられている。これは水口というとこである。祭祀のはじめに、神社の役員が水(酒?)をそそぐ。

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はじめに畔切りがあり、畦塗が行われる。田起こしとなり牛が登場する。牛は祭典の前に参道からあらわれており、拝殿前で待機しているのが珍しい。

この神社の御田祭での、牛の労働時間は長い。鋤き込みで神田を3周、マンガで神田を3周。いずれも辰巳の方向からである。

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 牛の仕事がすむと田植えである。役員全員が神田に並んで田植えを行う。松苗を植える所作をするが、松苗は周りに放り投げる。氏子・見学者はそれを拾うのである。

祭が終わると拝殿に供えられた松苗を各垣内ごとに、宮司が手渡す。垣内の役員は各戸のもれなく配るという形である。

 この松苗を各家は、水口に立てて(水口祭)、籾をまいたという。

神田には水口が設けられていること。牛は境内を通り登場して、牛としてのリアリティがあること。「ほうり松」があることなどは、『和州祭禮記』にも、紹介されている。


by koza5555 | 2021-02-23 10:18 | 盆地中央
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